社会人になって間もない頃。
自分で選んだ仕事だったし、
最初は順調でした。
でも、ある時から、
どれだけ頑張っても、
なかなかうまくいかなくなりました。
「なんでできないんだろう」
「もっと頑張らないと」
そんなふうに、
どんどん力が入っていた時期です。
まだ、失敗や乗り越えるという経験が
ほとんど、なかった頃なので、
とにかく気合いで
コントロールしようとしていました。
それでも、当時の自分の力では
限界に近づいていました。
そんなある日、上司から電話が入り…
「明日、泊まりの用意をして、○○に来て」
泊まりの用意?
え?
何?
もしかして、
一対一で何か特別な研修?!
毎月何かしらの研修や、
東京でのミーティング等は
ルーティンとしてありました。
でも、いきなり「明日」というのは、
なかなかない。
だいぶ緊張しながら向かいました。
最初に軽く食事。
そして、次に向かったのが、
なんと、
銭湯。
え?
銭湯?
当時の私は、銭湯に行く習慣もほとんどなく、
「ここ???」
という感じでした。笑
でも、上司に言われるままお風呂へ。
湯船につかっていると、
上司が私に聞きました。
「今の気持ちは?」
私は、
「気持ちいい〜〜〜」
と答えました。
すると上司が、
「それ!
今のあなたに必要なのは、それ」
と言ったんです。
その瞬間、
強張っていた体の力がスーッと抜けて
リラックスできたことを覚えています。
私はずっと頭の中で考え続けていました。
どうしたらうまくいくのか。
何が足りないのか。
もっと頑張らないといけないんじゃないか。
そんなことばかり。
上司は、
「もっと力を抜きなさい」
「頑張りすぎだよ」
と説明するのではなく、
実際に私が
体で感じるところへ連れて行った。
今思うと、
すごいことをしてくれたんだなと思います。
当時の私には、きっと言葉よりも
銭湯だったんでしょうね。笑
そして翌日。
これまでの流れを断ち切る
新しい風が吹きました。
単純に、
気持ちが上がったとか楽になったとか
そういう話ではありません。
低迷していた成績が少しずつではなく、
たった1日でかなり躍進したのです。
私にとって、あの銭湯での体感は、
その後の現実を動かしたのです。
もちろん、誰でも銭湯に行けば
何とかなるとは思いません。
私自身、部下を銭湯に連れて行ったことは
ありません。笑
でも、あの時の私だったから、
上司は銭湯を選んでくれたのだと思います。
当時はまだ、
その上司の前では緊張を隠せない私でしたが、
上司は、そんな私を面白がりながらも、
大事な時には必ず手を差し伸べてくれる
大きな大きな存在になりました。
そして、後には、
上司部下という関係ではなく、
姉のような、母のような…
家族のような友達になリました。
あれから随分時間が経ちましたが、
私は今でも、何かがうまくいかなくなった時、
あの日の銭湯を思い出すことがあります。
もっとやらなきゃ。
もっと考えなきゃ。
そんなふうに力が入り始めた時に、
「気持ちいい〜〜〜」
と言った、あの瞬間を。
うまくいかない時ほど、
何かを足すことばかり考えなくてもいい。
呼吸をして、少し緩んで、
頭より先に自分の感覚を取り戻す。
あの時、上司が私にくれたのは、
銭湯の入り方ではなくて(笑)、
その感覚だったのだと思います。
あの経験は今でも忘れられません。
これからもずっと、私の中に残り続ける
大切な出来事です。
あなたの中にも、
ずっと残っている『あの時』がありますか?


コメント